戦略コンサルティングファーム各社の特徴シリーズです。今回の戦略コンサルティング会社のフォーカスはBain&Company(ベイン・アンド・カンパニー)です。
コンサル業界では「ベイン」の略語で称されます。PEファンド向けのサービスや、短いスパンでのアップオアアウト(Up or Out)の適用など、競合戦略コンサルファームの規模拡大とは距離を置き少数精鋭を維持している会社です。
採用プロセスはケース面接、電話での簡単な英語スキルチェック、パートナー面接などで構成され、6-7人の面接者の評価によりオファーを得る流れとなります。
ベイン・アンド・カンパニーは古き良き時代の戦略コンサルティングファームを維持していると思います。クライアントに対するバリューの出し方、厳しいアップオアアウトを維持することで担保しているコンサルタントの質、人材育成の制度などは現在の日本における戦略コンサルティング業界で頭一つ抜き出ています。規模が小さいことだけが、唯一かつ最大の課題と思えるファームです。
Contents
ベイン・アンド・カンパニーの入社難易度
→★★★(最難関!)
- ケース面接の問題自体はオーソドックスだが、面接官からの指摘が非常に厳しいのが特徴。網羅的な打ち手のオプション出しに加え、打ち手の質の高さをより評価される傾向です
- ベインの面接では売上改善の打ち手をセグメントごとにしっかり考えられるかが重視されます。コスト削減や、オペレーションの合理化などの打ち手はあまり響かない傾向です
- 筆記試験は全て日本語ですが、GMATを基にしており難易度が高いだけでなく、正答率の高さも求められます。また、ベン図問題がユニークで厄介です。包含関係を示した選択肢の図が示され、「ユニクロの服」、「スポーツウェア」、「男性向けウェア」の関係性を示した図はどれか?というような問題が10問程度出ます
- ベインは英語については「入社後にスキルアップする形でもOK」という雰囲気です。ただし入社後はそれなりに英語(読み、書き、話す、聞く全て)ができないと、インタビューや文献調査などの情報収集に制約が生じるため生き残る上での大きなハンデとなります
ベイン・アンド・カンパニーの雰囲気、プロジェクトの内容
→素朴、シャープ、クオリティはシビア
- 戦略コンサルティング会社のTOP3であるMBB(マッキンゼー, BCG, ベイン)の一角。日本では3番手のイメージが強いが、ファーム在籍者全体の平均値・中央値としては最もベインのレベルが高いと思われます(マッキンゼー、BCGは人員拡大により平均的なコンサルタントの質が低下傾向)
- ベインには「素朴だが頭はシャープ」というタイプの方が多く、マッキンゼー、BCGとは社内の雰囲気も微妙に異なります
- ベインが強い業界は、テクノロジー、消費材、自動車ということで競合と大きな差はありません。ベインの特徴はPEファンド向け案件が2-3割ありBCGやマッキンゼーと比べて多いことで、「数字にこだわるベイン」、「地に足のついた提言」などと評されるベインの特徴が出ています
- コンサルタントのパフォーマンスには非常にシビアです。パフォーマンスが悪いと罵倒に近い辛辣なフィードバックを受けたり、タスク終了直後に「お疲れ様。次は1/3の時間でやって」と冷たく言い放たれたりすることもあります。スライドを書く時間も1枚30分が基準とされており他社と比べて厳しいです
ベイン・アンド・カンパニーの給料・制度
→上位戦略コンサルとして一般的な給与レンジ
- アソシエイトは600万円程度からスタート。シニアアソシエイト1,050万、コンサルタント1,500万円、ケースリーダー2,000万円〜と3年おきの昇格ごとに給料が1.5倍になる仕組み
- 食事代として毎日2,000円支給され、一定の率での退職金制度も存在します
- 社内で生き残るという意味でも、戦略コンサルティングファーム中で最難関。3年おきの昇格を要件とするUp or Outが厳格に適用され、3年を待たずに1年程度でアウトになっているケースも散見
- ”採用した戦略コンサルタントを育てよう”という意識の高さに定評あり。パフォーマンスのフィードバックに時間をかけて、コンサルタントの成長にコミットしているファーム(毎週のOne on One、研修・評価制度の整備)
ベイン・アンド・カンパニーの出身者
- 笹沼泰助(アドバンテッジパートナーズ共同代表パートナー)
- 前刀禎明(リアルディア代表取締役、元アップルコンピュータ日本法人代表)
- 笹井英孝(ライフドリンクカンパニー代表取締役、元セント・ジェード・メディカル日本代表)
- 塩野誠(経営共創基盤パートナー)
- 田尻新吾(プロ経営者:ロゼッタストーンジャパン、サンパワージャパンの社長を歴任)
- 秋山浩保(千葉県柏市市長)
- 相木孝仁(プロ経営者:フュージョン・コミュニケーションズ、鎌倉新書の代表取締役社長を歴任)
- 妹尾輝男(コーン・フェリー・ヘイグループ代表取締役会長)
- 堀新太郎(ベインキャピタル・ジャパン会長)
※他にも多数いますが別途追記予定
ベイン・アンド・カンパニーの現役、過去パートナーについては以下の記事で経歴をまとめていますので、参考にして頂ければと思います。
>>>ベイン・アンド・カンパニーのパートナーの経歴
また、これからベイン・アンド・カンパニーの面接を受ける方は、ケース面接の対策として、以下も参考にして頂ければと思います。
>>>ベイン ケース面接1:スターバックスの売上