PwCコンサルティングのパワハラ問題に思うこと

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ここ1ヶ月ほど、コンサルティング業界ではPwCコンサルティングのパワハラ問題がクローズアップされています。マッキンゼー、BCG出身で、現在はPwCコンサルティングに移った堤裕次郎パートナーが、自身の出張にまつわる問題(カラ出張、社費での経費精算)を告発した女性マネージャーを、永妻恭彦ディレクターを通じて不当に退職に追いやったという事案について、プレジデント社がPwCのパワハラ案件として暴露しています。

この事案はPwCコンサルティングの弁護を森・濱田松本法律事務所の高谷知佐子弁護士(パワハラ問題で曰くつきの方)が担当していることで、更に注目を集めているようです。

TOP5の戦略コンサルファーム中で2ファームを経験している筆者にとっては、よくありそうな話であり、些末な話であるようにも感じます。

そこで、筆者が見聞きした、戦略コンサルティングファームの典型的なパワハラ例をいくつか紹介したいと思います。

これまで、コンサルティング業界ではパワハラは公然と行われており、被害者にとっても「それが嫌だったらやめれば良い」、「パワハラなんてどうでも良いことに巻き込まれるのは時間の無駄」、「働き口はいくらでもある」というのが、暗黙の共通認識でした。

PwCコンサルティングのような事案が弁護士を立てた係争に発展するようになった事自体が、コンサルティング業界に長く身を置く身としては隔世の感がありますね。

プロジェクト炎上の責任を押し付けられ、一発退職勧告

長いことコンサルティングを続けていると、所謂炎上プロジェクトにアサインされてしまうことがあります。炎上プロジェクトとは、アウトプットがクライアントの期待と合わず、沈静化のために予算オーバー(もしくはコンサルタントの超絶ハードワーク)で追加作業をしなければならないようなプロジェクトを指します。

炎上プロジェクトはパートナーの案件の取り方に起因するケースが多いです。もちろん、マネージャー以下のケイパビリティ不足によって発生する炎上プロジェクトもありますが、その場合は当然の結果としてマネージャーやジュニアがファームを去ることになりますので、ここではパートナー起因の炎上プロジェクトを深堀りすることにします。

炎上プロジェクトに運悪くアサインされてしまうと、大抵のマネージャーやジュニアコンサルタントは1-2ヶ月の間、平均睡眠時間2-3時間で対応する羽目になります。結果としてうまく鎮火できれば、マネージャー、コンサルタントはパートナーから高級ディナーで「お疲れ会」を開いてもらうというのが業界の定番なのですが、うまく鎮火できずに「プロジェクト終了を待つしかない」という案件が稀に発生します。

このような完全炎上プロジェクトは、案件を取ってきたパートナーにとって以下の3点で悪影響があります。

①プロジェクト単体としての採算が悪く、ファーム内で問題視される
②クライアントからの信頼を失い、同じクライアントからのリピート発注を取りにくくなる
③炎上パートナーという噂が広がり、優秀なジュニアがアサインされることを避けるようになる

そこで、業界あるあるなのが、パートナーがマネージャーやコンサルタントに責任を押し付けるケースです。このパターンではマネージャーがかなり厳しい評価を付けられてしまい、最悪一発レッドカードで退職勧告というケースが見られます。パートナーとマネージャーの関係が強固な場合などには、シニアコンサルタントクラスが流れ弾に食らうケースもたまに見られます。

これって、世の中的には完全なパワハラなのですが、アップ・オア・アウトの人事制度をとっている戦略コンサルティングファームを中心にあるあるのパターンです。

名物パートナーに嫌われ、一発レッド/イエローカード2回で退職勧告

ロジカルさが重視される戦略コンサルティング業界ですが、プロジェクトの成果物を作る過程で、何を優先するか?についてパートナー、マネージャー、ジュニア間で対立関係が生じるケースがあります。対立軸としては、リソース(時間、スタッフ)vsクオリティの優先付け、綺麗な整理vs成果への直結の度合いの優先付けなどに関するものが典型的です。

このようなケースでは、ある程度まではポジションは関係ないフラットなディスカッションなのですが、最終的にはクライアントに対して責任を持つ立場にある上位ポジションの意向が優先されることが多いです。

優秀だと言われているアソシエイト・シニアコンサルタントやマネージャークラスで、上位ポジションに噛みつきすぎた結果、「言うことを聞かない」レッテルを貼られ、退職勧告につながるケースというのが一定数存在します。ただしこのパターンは名物パートナーの強権が発動されない限り、一発レッドは少なく、優秀なコンサルタントでありさえすればイエローが1枚出た時点で、2枚目が出ないよう周囲が助けてくれるケースが多いです。

しかし、優秀だと言われているアソシエイト・シニアコンサルタントやマネージャークラスで、上席に噛みつきすぎた結果、「言うことを聞かない」レッテルを貼られ、退職勧告につながるケースというのが一定数存在します。ただしこのパターンでの一発レッドは少ないため、優秀なコンサルタントでありさえすればイエローが1枚出た時点で、2枚目が出ないよう周囲が助けてくれるケースが多いです。

従事するパートナー変更のミス

このパターンもよく見られます。コンサルティング会社で働いていると、パートナーが固定されてくることが多いです。2-3人のパートナーに可愛がられて、そのパートナーの担当業界やプロジェクト内容が自分の望むキャリアパスと一致し、結果としてクライアントからも評価されていれば、それほどコンサルタントとして楽しいことはないと思います。

しかし、1人のパートナーに可愛がられすぎている場合に、自身が希望する将来のキャリアパスとの不一致や、類似プロジェクトを繰り返すことによるコンサルタントとしての成長速度の低下などを理由に、他のパートナーのプロジェクトに参加したくなることがあります。

その場合、「現在可愛がられているパートナーから離れたい」というメッセージを何らかの形・度合いで発信する必要があり、そのコミュニケーションがうまくできなかった場合、結果として「xxパートナー、xxマネージャーをあんなに可愛がられていたのに、評価会議で超刺してるじゃん...」というケースを目の当たりにすることがあります。

上記は、コンサルティング業界を知らない方にとっては、理不尽に思えるものも少なくないと思います。しかし、コンサルティング会社ではパートナー制を敷いているファームが多く、ある意味個人商店であるパートナーの協同組合が会社の形を取っているようなものです。一般的なのコンサルタントは「個人商店の社長に嫌われたら、自分が出ていくのは当然だ」という理解のもとに働いているケースがほとんどです。

コンサルティング業界に長く身を置いている立場からすると、「こんなパワハラ日常茶飯事だな」という思いと、「昔ならこんな事案で弁護士が登場なんてありえなかったな」という思いで不思議な気持ちになりますね。どうせ、コンサルティング会社に一生骨を埋める人などいないので、嫌ならやめたら良いわけです。他のファームに移るという手もあります。

もちろん、こんな話はない方が良いに決まっており、筆者もPwCコンサルティングで問題になっているようなシニアメンバーにはなりたくありません。しかし、コンサルタントは人間的に素晴らしい人ばかりではなく、戦略提言のプロフェッショナルであることに重きを置いている方が多いというのもまた事実。どうでも良いと思うことには触らない人が多かったはずなのですが...これもコンサルティング業界肥大化の1つの姿かな。

-戦略コンサルタントとしての雑感

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