戦略コンサルティング会社のUp or Out(アップ・オア・アウト)

戦略コンサルタントに関心のある方にとって、業界の掟とも言える「Up or Out(アップ・オア・アウト)」がどの程度厳しいかという点は、大きな関心事項だと思います。

Up or Out(アップ・オア・アウト)とは

Up or Out(アップ・オア・アウト)とは、簡単に言うと「一定期間で昇格(アップ)できない社員は、会社を辞めて(アウト)ください」という制度です。

マッキンゼー出身者などが自身の体験を書籍やインターネット上で発信することで、Up or Out(アップ・オア・アウト)が戦略コンサルティング業界特有のルールとして、広く一般に認識されるようになってきた感があります。

筆者も戦略コンサルタントになる以前、更にはなった後でも、Up or Out(アップ・オア・アウト)がどの程度厳格に運用されているかというのは常に関心毎だったように思います。近頃「Up or Out(アップ・オア・アウト)はなくなってきている」という話も転職エージェントサイト等で見かけるようになってきましたが、実態はどうなのでしょうか。

筆者の感覚では、米系戦略ファーム5社(マッキンゼー、BCG、ベイン、ATカーニーStrategy&)においては、「今なおUp or Out(アップ・オア・アウト)が存在。但しバー引き下げ、一定の猶予期間や措置を設けるなどソフト化傾向」というのが実態ではないかと思います。

各社のアップ・オア・アウトに関する最新の動向 ※()内は制度の厳しさ

マッキンゼー(やや厳しい)

原則2-3年で昇格できなければアウト。ただし近年はポテンシャルがあれば、一定の猶予期間あり。
当落線上のコンサルタントは空気を読んで退社する社員が多いため、厳密な意味での
「アップ・オア・アウト」による退職は少ない。

BCG(比較的緩い)

近年は大量採用によりコンサルタントの質にばらつきが存在しているため、昇格要件は厳格だが一定のレベルに達してさえいればアウトにもならないという傾向。(規模拡大により、一定の能力があれば生き残る道はある)但し、見切られた場合の退職勧告は存在。もともと、マッキンゼー、ベイン、ATカーニー、ブーズなどと比べてアップ・オア・アウトはそこまで強くない。

ベイン・アンド・カンパニー(厳しい)

原則3年で昇格できなければアウト。評価基準、昇格要件を明確に示し、伝統的なアップ・オア・アウトを維持している。少数精鋭のファームを維持しているため、今後もこの流れは続きそう。

ベインについては、奥野代表が公式に「ベインはアップ・オア・アウトです」と公言しています。>>>インタビュー記事

ATカーニー(厳しい)

原則アップ・オア・ステイだが、採用半年でクライアントにチャージ(費用請求)するレベルに達しないコンサルタントはアウトとなる。
(半年でアウトになった知り合いを立て続けに見たときは驚いた。未経験ながら上位職種で採用されるMBA卒にとっては特にハイリスクなファーム)
一定水準に達すると、原則アップ・オア・アウトはなくなるため、入社後半年程度が勝負。

Strategy&(比較的厳しい)

原則3年で昇格できなければアウト。3年で昇格する芽がなければ、タイミング問わず退職勧告するなど、厳しく運用している模様。Strategy&の前身であるブーズ・アンド・カンパニーは昔からアップ・オア・アウトの風習が厳しかったため、Strategy&発足後もその文化を踏襲している形。Strategy&のパートナーはアップ・オア・アウトを「本人が幸せになるための優しい制度」と語っており、ファーム内で厳しく運用されていることを示唆している。

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