戦略コンサルのケース面接の大きなパターンと対応策

戦略コンサルティング会社のケース面接においては、フェルミ推定問題とケース問題が出題されます。

フェルミ推定とは、市場規模の大きさや、世の中での特定物の存在数などを算出する問題です。マッキンゼーで「世の中に電柱の数は何本あるか」という問題を出すようになったことがきっかけで、フェルミ推定が世の中に知られ始めました

ケース面接とは、具体的なビジネスの前提を与えられて、売上もしくは利益を改善するにはどうしたら良いか?という打ち手の議論をする問題です。「スターバックスコーヒーの売上を倍にするにはどうしたら良いか?」などというのが典型的な問題です。

このフェルミ推定とケース問題については、この記事を読まれているような方であれば、皆さんご存知かと思います。この記事では、フェルミ推定やケース問題でどのようにテーマが選ばれるのか?という観点でまとめたいと思います。

パターン① 面接官があらかじめケース問題を決めている(全体の約70%)

会社全体の傾向としてフォーマット問題を出すことが多い会社(昔のBCGなど)と、問題自体は面接官が個別で考えているものの同一面接官が頻繁に面接を行うために結果として類似問題が多数出る場合(マッキンゼー、ベイン、ATカーニーなど)があります。

ベインでは多くの面接官が大量の資料を準備し、その場で候補者に読ませた上、ケース面接を実施しています。情報が多いため、すべての情報がエージェントに流出することはありませんし、候補者のデータ理解の速さを測ることも可能です。ベインのやり方は、非常にうまいなと個人的に思っています。

一方昔のBCGは5-6個の中からフォーマット問題を出題するという方針を採用しており、与える資料も4-5枚と少なかったため、転職エージェント経由で情報がガンガン漏れていました。その前提でも候補者によってクオリティには大きな差が出るため全体としては問題ないのですが、一定数採用ミスが発生してしまっていたこともあり最近は出題傾向をガラリと変えています。


パターン② 面接官があらかじめケース問題を決めていない(全体の30%)

ベテランの面接官に多いです。趣味などの雑談からテーマを拾い、では「そのxxの市場規模を推定してください」、「売上を改善するにはどうすれば良いと思いますか?」というようなやり取りが始まります。ここで注意すべき点は、3点あります。

自分がよく知らない業界の話をしない

格好をつけて、「私はフィンテックに興味があって...」みたいな話をしても後々大変になるだけです。はっきり言って、ここで話すテーマとケース面接における合否は全く関係ありません。このあたりは日系企業や他業界の面接とは全く異なる点ですので、注意しておきましょう。

(筆者はかなり前にはなりますが、「宇宙ビジネスに興味があって」というような話した結果、大失敗した経験があります)


市場規模がわかりやすい業界・レベルの話題を選ぶ

市場規模のあたりがつけられる業界やレベル感の話題を選ぶというのは非常に大事です。

例えば、プロ野球の観戦と氷細工(氷を彫刻で加工するアート)が趣味の人がいたとします。(そんな人がいるかはわかりませんが...)
この場合業界として議論がしやすいのは、明らかにプロ野球の観戦です。したがって趣味としてはプロ野球の観戦の話をするべきだと思います。

次にレベルの観点ですが、「プロ野球において、好きなチームと選手はいますか?」と聞かれた場合はどうでしょうか。例えば、あなたが読売ジャイアンツのファンだとして、若手の内野手である山本選手のファンだったとしても、坂本選手、菅野選手などの有名選手を挙げるのが無難だと思います。

好きなチームと選手を答えた後、「では、読売ジャイアンツのxx選手のレプリカのユニフォームの市場規模を算出してください」という形でケース面接が始まっていく可能性があります。フェルミ推定、ケース問題ともに、有名選手の方が数字感のイメージを捉えやすく、議論がしやすい&その数字が正しいかも検証しやすいです。

"xx選手のレプリカのユニフォームの市場規模"の算出プロセスにおいては、
野球を観る人の割合
>読売ジャイアンツファンの割合
>球場に行く人の割合
>球場でレプリカを買う人の割合
>xx選手のユニフォームを買う人の割合...
のように分解して計算していきます。

マイナー選手の場合、「xx選手のユニフォームを買う人の割合」について適切な数字の見当をつけるのが難しいです(5%、1%、0.1%のどの数字が適切かわからない)。また数字を選ぶ根拠も加えにくいでしょう。一方、有名選手の同割合は20%程度であれば妥当に思えますし、根拠を加えるという観点からも「球場では、ユニフォームを着ているファンのうち5人に1人がxx選手のユニフォームを着ている」などと論理を補強することが可能です。

趣味として話す話題について、事前に市場規模の計算をしておく

業界についての注意点を意識した上、話すべき趣味を決めた後は、そのテーマについて事前に市場規模の推定を行い、インターネット等で市場規模を調べ確認しておくと良いと思います。

面接官が問題設定後に市場規模を調べる可能性がありますので、実際の市場規模は5兆円であっても、あえて10兆円と回答した上、「さらに数字を改善するには?」と聞かれた際に調整を加えるという高等テクニック(?)もあります。

戦略コンサルティングを目指されている方は、ケース面接における雑談のトピック選択も戦略的に行うのが良いのではないかと思います。


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