Work Rules

書籍名:「Work Rules」(ラズロ・ボック著)
対象:人事部門で働いている方、転職先を考え始めたコンサルタント、Googleへの入社希望者

Work Rules(ラズロ・ボック著)

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元マッキンゼーの戦略コンサルタントであり、Googleの人事担当副社長であるラズロ・ボック氏がGoogleの人事制度について書いた書籍です。「創業者になろう」という第一章に始まり、全14章に渡り、Googleが人材採用、育成、評価において大切だと考えていることをWork Rulesとしてまとめています。

はっきり言って、「Googleがどれだけ良い会社か」をまとめた採用マーケティングツールの側面もあるとは思いますが、ある施策を打つに当たって、「研究ではこういう結果が出ている」、「Googleで運用した結果として、こうなった」という理論面と実践面の両方の検証がされており非常に納得感がありました。(実践面のみ言及されているものもあります)


Googleの人事制度はどれだけ素晴らしいか

正直驚きましたね。これだったら自分も転職したいなと思わずにはいられないところもありますね(笑)

世界最高水準の給与に加え、全社員へのストックオプションの付与、シェフ常駐の食堂、マッサージ室・仮眠室の整備など日々のビジネスライフクオリティーの向上施策、Googleの社内見学や死亡保険による社員の家族ケアなど挙げ出せばキリがないほどの施策が取られています。その中でも、筆者は社員同士で付与できるボーナスという考え方が素晴らしいと思いました。360°評価の究極の形だと思いますね。(しかも本当に付与すべき人にのみ付与するという実態になっているらしい)

グーグルと戦略コンサルティング会社の人事評価の類似性

Googleの人事評価制度は2つの点で非常に戦略コンサルティング会社と類似性があると感じました。

創業者意識

戦略コンサルティング会社で働いたことがある方であればおわかりであると思うが、戦略コンサルタントとして一番求められる資質は「創業者意識」であると思う。ファームによって表現は異なるが、「プロアクティブ」、「セルフスターター」、「オーナーシップ」などの基本的な姿勢が高度に備わっていることが、戦略コンサルティング会社で生き残っていくために必要なことであると思う。

根源的すぎて、「なんだそんなことか」と思われてしまうかもしれないが、戦略コンサルティング会社を早期に去るコンサルタントの多くはこの要素が欠けている場合が多い。もっとも、戦略コンサルティング会社が求める基準が非常に高いことが理由であり、コンサルタントの多くは転身先で大活躍できる場合が多い...らしい(卒業していった戦略コンサルタントが実際のところどうなのかということは、正直筆者はあまりよくわからない)

データ重視主義

「年齢によらず評価される会社で働きたい」、「自由にものを言える会社で働きたい」という声は就活時に昔から聞かれる声である。年齢によらず評価される会社、自由にものを言える会社というのは具体的に踏み込んで言うとどういうことを意味しているか?筆者の理解は「ファクトが尊重される会社」という理解でいる。戦略コンサルティング会社では、発言者の肩書きや年次によらず、ファクトと論理に優れたコンサルタントが評価される。Googleにおけるデータ重視主義を表す一節から、戦略コンサルティング会社との類似性を感じることができる。

データに依存することーーさらに言えば、あらゆる話し合いにデータの裏付けを求めることーーによって、マネージャーの昔ながらの役割をひっくり返すことができるのだ。...グーグルの昔から変わらない基本方針のひとつは「政治活動をするな。データを使え」である

マネージャーの権限

Googleでは、マネージャーへ与える人事面の権限を極力小さくしています。

採用においては「微妙だけど取っちゃえ」という妥協が人員不足の際に起こりがちです。Googleでは採用時の権限を所属部門のマネージャーに与えず、他部門のマネージャーや人事が面接に介在することで、このような妥協が発生する余地を排除しています。

育成においても部下のマイクロマネジメントは容認されません。マイクロマネジメントはマネージャーのリソースの浪費であり、チームとしても自由裁量の余地の大きさがパフォーマンスの向上に寄与すると考えているからです。

このような考え方は、「結果さえ出していれば、なんでも良いよ」という戦略コンサルティング業界と強く通ずるものを感じます。また、新米マネージャー・課長が陥りがちなマイクロマネジメントの特徴をよく捉えていると思います。

色々な声

メッセージアプリLineの元社長である森川亮氏はGoogleの人事制度について以下のように述べています。インターネットやIT系企業はイノベーションを生みやすい環境が特に重要のため、Googleの人事制度との親和性が高いのだと思います。

僕はグーグルとアップルのそれぞれの経営スタイルを参考にしていますが、グーグルのように優秀な人材を採用し、大胆に権限委譲するスタイルが、イノベーションを起こすには最適なスタイルだと感じます。


新世代CEOの本棚 P.45

ウォンテッドリー社を設立し、女性起業家として史上最速でマザーズ上場を果たした仲暁子氏はWork Rulesについて、「Googleの人事制度を包み隠さずに語っており、最近読んだ本の中でダントツに面白かった」と述べています。人事系は起業家にとっても悩みの多い領域だということがよくわかるコメントです。

どんな施策を打ったらよかった、悪かったといったトライ&エラーや、社員にどんなアンケートをとり、それをどう反映させたかといった具体的なノウハウまでつまびらかにしている。人事は会社の肝ですから、正直、「こんなに言っちゃってもいいの!?」と驚きました


新世代CEOの本棚 P.186

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