書籍名:「ストックビジネスの教科書」
対象:新卒のコンサルタント(入社後1-2年)、大学生、社会人経験10年程度以下のビジネスマン
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レンタルオフィスや貸し会議室ビジネスを手がけてきた大竹啓裕さんの「ストックビジネスの教科書」という本を紹介したいと思います。
この本は非常に良いテーマの本だと思います。「ストックビジネス」と聞いて、イメージがわかなかった方は、是非一度読んでみることをお勧めします。文体や本の体裁も読みやすく、1-2日あれば読み切ることができると思います。
戦略コンサルタントの身としては、本書の中で「ん?」と思わざるを得ない箇所がいくつかありましたが、「フロー」、「ストック」というビジネスにおいて重要な概念について、事例を交えながら整理してくれているという意味で本書は非常に有益と思います。
ストック思考の重要性
戦略コンサルタントをしていると、ビジネスをストック化させることが近年ますます重要になってきています。既存事業の成熟により、新たなビジネスに取り組む企業が増えています。M&A、新規事業・ビジネス・ディベロップメントの強化、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の立ち上げ等をより頻繁に見聞きするようになりました。
新たなビジネスの検討においては、「短期利益を狙うものであってはならない」、「人が変わっても引き継げなければいけない」、「プラットフォームビジネスができないか」などといった議論が頻繁になされます。これらは全て「ビジネスのストック化を狙っている」と言い換えることができます。ストックなのかフローなのかを意識しながらビジネスを行うことは、売上拡大、コスト削減の双方において非常に重要です。
本書を読む上での注意
本書を読む上で2点注意しておいて頂きたいことがあります。
ストックビジネスの定義
本書において著者はストックビジネスを「定期的にお金が入るビジネスで、売ることができるもの」と定義していますが、後段の「売ることができる」というのが、非常にわかりにくいです。
筆者は例えば以下のような例を挙げていますが、非常にわかりにくいです。
サラリーマンの給料:給料をもらう権利を売却できないためストックビジネスではない(ふむふむ、なるほど)
毎月の雑誌のデザインの仕事:編集者からの請負であり、そのビジネスを売ることができないのでストックビジネスではない(このあたりからかなりわかりにくい)
弁護士の顧問契約、税理士:ストック性が高い(売ることができるという観点はどこへ??)
ある程度会計の理解がある方は、例えば以下のように捉えると良いと思います。「定期的にお金が入るビジネスで、費用が逓減するビジネス」
「定期的にお金が入るビジネスで、過去の活動が資産化するビジネス」
私は上記の例では、「サラリーマンの給料」以外はストックビジネスという理解で良いと思います。
ストックビジネスの類型
筆者はストックビジネスのパターンとして、ストックビジネスを17個のモデルに類型しています。正直これは覚える必要はないと思いますし、覚えられないと思います。人間が記憶できるものは、せいぜい5-6個です。あくまでもストックビジネスの理解を深めるための事例だと考えましょう。
その他
著者は本書中でリピートの重要性にも触れています。リピートは非常に重要なポイントでコンサルティング会社でも特に消費財関連の企業向けにリピート率を上げるためのプロジェクトが存在するぐらいです。
リピートの重要性は心理学的にも証明されているんですね。以下引用です。
これは心理学的にも証明されていることで、「単純接触効果」と言います。簡単にいうと、接触回数が増えれば増えるほど、その人に対する当初あった警戒心が薄れていき、逆に好感度が増していくという心理現象のことです。
ストックビジネスの教科書(大竹啓裕著)