今回は、マッキンゼーやベイン・アンド・カンパニーの戦略コンサルタントとして活躍した、後正武氏の「意思決定のための分析の技術―最大の経営成果をあげる問題発見解決の思考法」という本を紹介します。
本書は戦略コンサルティングファームに内定すると、「必ず読んだほうが良い」と課題図書に挙がる書籍です。バーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」とともに、戦略コンサルティング業界のデファクト・スタンダードとなっている書籍です。
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意思決定のための分析の技術の概要
本書は「分析とは何か」を徹底的に追求した書籍です。分析の基本を、「大きさを考える」、「分けて考える」、「比較して考える」、「時系列で考える」の4つと定義した上で、各章で基本的な考え方、陥りやすい罠、注意点までにもアドレスした分析技術の教科書とも言える本かと思います。
ハイレベルに一般化された分析技術の総論と、戦略コンサルタントとして経験を踏まえた分析例という抽象と具体の往来により、初学者でも非常にわかりやすくなっているだけでなく、中上級者にとっても読めば読むだけ学びが深まってくる、そんな本です。
例えば、後正武氏は、「マーケットセグメンテーションの軸は①地域、人口密度、気候などのジオグラフィックな要因、②年齢、性別、所得、職業などのジオグラフィックな要因、③ライフスタイル、パーソナリティ、商品使用率、使用機会などのサイコグラフィックな要因 の3つに分けられる」とサラッと整理しています。深く理解しようとすると、この一節だけでもあっという間に時間が経ってしまいますね。
大学卒業程度の知識と思考力があれば誰でも読むことが可能ですので、是非多くの方に手にとっていただきたい書籍です。
後正武(著者)の紹介
東京大学法学部を卒業後、新日本製鐵を経て、ハーバード大学にてMBAを取得、その後マッキンゼー・アンド・カンパニーに参画し、同社のパートナーを束ねるプリンシパルパートナーを務めたほか、ベイン・アンド・カンパニーに活躍の場を移し、同社の日本代表を歴任しました。マッキンゼーやベイン・アンド・カンパニー出身の現在のパートナークラスも、後正武氏を師と仰ぐ声は強く、日本の戦略コンサルタントの代表的存在です。
2005年からは大前研一の主催するビジネス・ブレークスルー大学大学院にて教壇に立つほか、自らのコンサルティング会社 東京マネジメントコンサルタンツの代表も務めています。
「意思決定のための分析の技術」はあまりにも有名ですが、その他「経営参謀の発想法」、「論理思考と発想の技術」など、分析、論理をテーマとした執筆も数多く手がけられています。