戦略プロフェッショナル(三枝匡著)

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書籍名:「戦略プロフェッショナル」
推奨対象:ロジカルシンキング・経営戦略・マーケティングに興味のある方、戦略コンサルタントの仕事を理解したい方、リーダーシップのあり方を理解したい方

戦略プロフェッショナル(三枝匡著)

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時間がない方はここだけ読んで下さい

日本で最も成功している戦略コンサルティング会社BCG(ボストンコンサルティンググループ)の日本人第一号として入社した三枝匡さんによる書籍です。
※BCGをご存じない方はこちらの記事を御覧ください⇒⇒⇒BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)
「V字回復の経営」「経営パワーの危機」とともに、”三枝3部作”と呼ばれる経営戦略指南書の1冊となっています。

「戦略プロフェッショナル」は戦略コンサルタント、事業再生専門家、経営者として成功を重ねてきた三枝匡さんが、経験豊かなビジネスマン向けに書いたケーススタディです。経営者の苦悩を描きながら、セオリー重視の経営戦略を提示しています。私は「戦略プロフェッショナル」を3回ほど読んでいますが、常に新しい学びを得られる経営戦略の必読書だと思います。

第一製鉄の社員である広川洋一という30代の中堅社員が、医療機器メーカーの経営に参画し、法人営業戦略の見直しに着手するという経験を通じた、戦略の検討軸、苦悩・困難が描かれています。やや綺麗にまとまりすぎているのではないかという気もしますが、実話を元に構成したとのことで手触り感があります。

思い返せば、私にとってこの本との出会いは、戦略コンサルタントへの転身するきっかけを作ってくれたマッキンゼーのコンサルタントに薦められたことでした。初めて読んだ時は、経営戦略のイロハを学び始めた時期でしたが、経営戦略が企業に与えるインパクトの大きさに魅了された記憶があります。

本書が扱う経営理論は、BCGのプロダクトポートフォリオマトリクスや、製品ライフサイクル理論、セングメンテーションなどという現代の経営戦略において基本的なものばかりです。しかし直近改めて読んでみると、「自分は本質を理解できていないのではないか?」という疑念が生じ、コンサルタントとして改めて基本に立ち返ろうという気持ちを持たせてくれました。

三枝匡とは

三枝匡さんは一橋大学を卒業後、三井石油化学に入社しました。その後BCG(ボストンコンサルティンググループ)に日本人第一号として入社し、スタンフォード大学でMBAを取得しました。その後、ベンチャーキャピタル、米国企業の経営者などを経て、2002年にはミスミグループに入社し同社のビジネスモデルを転換させたことで、ミスミの第二創業者と称されています。現在は会長職(シニアチェアマン)として同社に在籍しています。

印象に残った点

シンプルな経営戦略

コンサルタントとしての経験を重ねると、分析のフレーム、アプローチなどで「独自性」を出したい衝動に駆られることがあります。こうした衝動は自己充足的な無駄なスライドの量産という形で、プロジェクトの生産性を落とすことが多いです。三枝匡さんの以下のコメントにはハッとさせられるところがありました。

もともと企業戦略論は、現実を「単純化」して問題の核心に迫るのが役割である。社内の人間であれば、こちらの顔を立てあちらの顔を立て、この問題は捨て切れないし、あれも大切だとグルグル考えを巡らす。しかし優れた戦略論はそんなしがらみなどお構いなしに、単刀直入に問題の本質に切り込む。競争に対し勝つか負けるのか、戦略論の目的はそこにしかないからである

「戦略プロフェッショナル」(三枝匡著)P.61

戦略コンサルティング業界にも働き方改革のような雰囲気が生じてきているなか、「単純化」というのは常に念頭に置いておく必要があると感じています。(クライアントが直面している状況も複雑化しているなか、相当意識しないと単純化は難しいという現実はあります。)

基本セオリー

本書で扱う理論は基本的なものばかりです。しかし慎重に読んでみると、プロダクト・ライフサイクルやBCGのプロダクトポートフォリオ理論など「本質はこういうことだったのか!」と初めて理解したような、思い出したような感覚になります。三枝匡さんが「完璧に」と強調するのは、私のように完全な理解に及ばず理論の表面的な活用をしているビジネスマンが多いことを知ってのことだと思います。

もう一度基本に戻って、プロダクト・ライフサイクルのセオリーだけは「完璧に」理解されることをおすすめする。これは、あなたの仕事上の判断にモロに使えるからだ

「戦略プロフェッショナル」(三枝匡著)P.106

コンサルあるある

こんなことはよくありますね。シニアメンバーの言うことがころころ変わり、疲弊したジュニアメンバーがブーブー言うというケースです。(その意味では戦略コンサルティング会社は間違いなく元気な会社だということだと思います。)

ルート1企業(エクセレント・カンパニー)では、走りながら考える感じだから、決断も早いが朝令暮改も多い。社員がそれに慣れて怒らないかと言えばそんなことはなくて、すぐにアクションをとってしまったとブーブー言う。しかし上の者は平気で、懲りずに朝令暮改を繰り返す。それが元気な印なのだ

「戦略プロフェッショナル」(三枝匡著)P.115

これも戦略コンサルティング会社ではあるあるです。状況に応じて、都度スコープや成功の定義を見直していくため、余程のことがあるか、相当内省的にならないと「プロジェクトが失敗した」と客観的に評価することは難しいです。筆者はクライアントからリピートがこないプロジェクト=失敗と考えるようにしている。(実際にはリピート発注を得ることは結構難しいのですが)

うまくいかなかった時に、そもそも何をやろうとしたのか、時間の経過とともにわからなくなってしまう人が多いんです。目標がどんどん移っていって、何をもって成功と呼ぶのかはっきりしなくなるんです。こういうやり方をすると、成功もないし、失敗もない、ただ流れていって(失敗の)疑似体験にならない

「戦略プロフェッショナル」(三枝匡著)P.171

「戦略プロフェッショナル」は読めば読むほど味が出てくる稀有な本ですね。

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