採用基準(伊賀泰代)

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書籍名:「採用基準」
対象:マッキンゼーを目指す方、管理職の方、管理職に疑問を感じている若手の方


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忙しい方はここだけ読んでください

マッキンゼーで採用担当マネージャーを務めた伊賀泰代氏による書籍です。自身がマッキンゼーに在籍した12年間の経験を基に、面接・採用においてマッキンゼーが重視している「リーダーシップ」と「地頭力」について詳述しています。

伊賀泰代氏がマッキンゼーに在籍したのは2010年までであり、採用基準が緩まっている現在と若干の相違も見られますが、マッキンゼーの採用コンセプトや面接のあり方、社内文化をリアルに感じることが可能です。戦略コンサルティング業界、特にマッキンゼーへの転職を検討されている方は、履歴書を提出する前に一読することを強くおすすめします。

また、本書はマッキンゼーという一企業の採用基準を示すだけでなく、「リーダーシップのあり方」を述べる本としても一読の価値はあると思います。初めて部下を持った方や、上司のあり方に疑問を感じている方なども一度読んでみていただくと頭がスッキリするのではないかと思います。

リーダーシップのあり方

リーダーシップとしては組織内リーダーシップとセルフリーダーシップが存在し、マッキンゼー伝統的にリーダーシップを非常に重視しています。したがってマッキンゼーの面接においてはリーダーシップ(特にセルフリーダーシップ)が備わっているかを確認します。

マッキンゼーのみでなく、戦略コンサルティング会社においては、コンサルタント全員が自ら課題を見つけ、アプローチを考え、タスクを前に進めていける人材であることが前提になっています。この資質は、リーダーシップやオーナーシップという表現されることが多いですが、短期間の訓練により身につくものではなく、これまでの人生の蓄積の結果として現れているケースが多いです。訓練で身につけることが難しい分、面接や採用プロセスを通して、しっかりとしたリーダーシップが形成されているかを確認するのです。

戦略コンサルティングファームのプロジェクトにおいて、クライアントから真に感謝される成果を上げるための必須要因の一つとして、「受動的なメンバーがいない」というものがあります。自ら考えられないメンバーがいると、マネージャー以上が細かく指示を出さなければならなくなり、チーム運営の負担が一気に大きくなってしまうからです。そのような状況にならないよう、トップファームではUp or Out(アップ・オア・アウト)を徹底しています。それでも、4-5プロジェクトに1回は、リーダーシップが低いメンバーのマネージメントをしなければいけない場合が出てきてしまうのが現実ですが。

本書には、マッキンゼー(というより戦略コンサルティング会社全般)において、どのようなセルフリーダーシップが求められているかについての具体的な記述が多数あります。特に重要なものを引用します。

マネージャーは、いろいろと指示にも聞こえるようなことを言ってきますが、コンサルタントがその意見を採用するかどうかは、新人も含め、自分自身が判断すべきことです。


「採用基準」伊賀泰代著(P.74)

もう一つよく言われるのが「ポジションを取れ」という言葉です。これは、「あなたの意見は何か」、「あなたが意思決定者だとしたら、どう決断するのか」という意味です。マッキンゼーでは若手コンサルタントも常に、自分の立ち位置をはっきりさせ、自分の意見を明確に述べるよう求められます。


「採用基準」伊賀泰代著(P.142)

自分を舞台監督だとすれば、パートナーは主演男優、マネージャーは主演女優とも言えます。自分よりも彼らのほうが給料も高いし、知名度や立場も上かもしれません。それでも「舞台をつくり上げ、成功させる」ことについて主導し、責任を取るべきは監督、すなわち自分である、ということです。だから「上司をどう使うか考えるのも、あなたの仕事だ」となるわけです。


「採用基準」伊賀泰代著(P.148)

思考力と思考スキル

本書では思考力を以下のように定義しています。

思考力=思考スキル+思考意欲+思考体力

いわゆるロジカルシンキングは思考スキルです。したがってロジカルシンキングだけでは思考力としては不十分であり、思考力を高めるには思考意欲と思考体力も必要です。マッキンゼーはじめ、戦略コンサルティング会社にはこの3つをすべて備えた人が多いのですが、思考意欲や思考体力は面接での判定がなかなか難しく、ファーム内にも思考スキルはあっても思考意欲や思考体力が不足しているというケースは一部で見られます。

戦略コンサルティングファームのルールであるUp or Out(アップ・オア・アウト)により淘汰されてしまう人の多くは、上述のセルフリーダーシップの弱さか、この思考意欲、思考体力の不足によると私は考えています。

思考力について伊賀泰代氏が指摘している重要なポイントについて引用します。(もはやマッキンゼーに限って重要な話ではありません)

さらに、地頭と関連してもうひとつ誤解されているのが、「考える力」もしくは「思考力」についてです。思考力のことを「思考スキル」だと思っている人がいますが、思考力とはスキルだけのことを指すわけではありません。


「採用基準」伊賀泰代著(P.45)

世の中には、たとえさまざまな思考ツールを使いこなせる高い思考スキルを持っていても、考えるのがそこまで好きでない人がいます。何を見ても深く関心をもたず、考えようとする意欲があまりわかない人や、考えることが好きだと言いながら、考え始めるとすぐに(考えることに)飽きてしまう人もいます。

「採用基準」伊賀泰代著(P.46)

採用面接において重要なことは、思考スキルの高い人と低い人を見分けることではなく、「ものすごくよく考えてきた人と、あまり考えてきていない人」を見分けることです。思考力の高い人は、考えることが好きです(=思考意欲が高く)、かつ粘り強く考え続ける思考体力があるため、結果として「いくらでも考え続けることができる人」のことを言うのです。

 

「採用基準」伊賀泰代著(P.48)

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