伊藤忠商事の特徴

三菱商事に続いて、総合商社業界2位で2020年3月期には業界トップも視界に入れている伊藤忠商事についてまとめたいと思います。

私が就職活動をしていた10年ほど前には商事→物産→住商→伊藤忠というような序列で語られていたことが多かったですが、ここ数年の伊藤忠商事の勢いは目を見張るものがあります。大学生の視点からは、朝型勤務や「110運動」という飲み会(1次会)を10時までに終わらせる試みなどが時代に合っていると評価されている面もありそうです。

なお新卒の就活において二大人気産業である総合商社とコンサルティング会社をざっくり比較した記事も書いておりますので、ご興味あればご一読下さい。

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伊藤忠商事の業績・強い領域

伊藤忠商事の2019年3月期決算では、売上11.6兆円、当期純利益5,457億円と、総合商社の中では三菱商事に次ぐ業界2位の利益を生み出しています。2020年3月期には、三菱商事のシンガポール子会社での不正による巨額損失もあり、利益ベースで2016年3月期以来の総合商社トップ返り咲きもあるのではないかとも言われています。

伊藤忠商事は三菱商事や三井物産と比べて資源ビジネスの依存が低く、食料・繊維など川下ビジネスを中心に国内ビジネスが強いため、国際環境の影響を受けにくい事業構造になっています。伊藤忠商事は2019年8月に、流通・リテール領域における新ビジネスの拡大に向け、各部門から選抜したエース級社員による「第じ8カンパニー」を発足することを発表しており、流通・リテール領域における経営基盤のさらなる強化と、新ビジネスの構築を進める方針です。

さらに、同社を語る上では中国ビジネスは切り離すことができません。最近は中国で拘束された伊藤忠商事の社員がスパイ容疑で実刑判決を受けるなどの事態もありますが、中国ビジネスにおいて総合商社の中で伊藤忠の右に出る会社はいないでしょう。元社長の丹羽宇一郎氏が中国大使を務めたこともあるぐらいですからね。

伊藤忠商事の給与・社内制度

総合商社業界No.2である伊藤忠商事の給与は、総合商社の中でも高くなっています。伊藤忠商事の有価証券報告書によると、伊藤忠商事の平均年収は1,521万円と三菱商事と比べると約80万円下がりますが、三井物産と比べると90万円高くなっています。三菱商事などと同様にだいたい4-5年目で1,000万円に到達します。部下ありの管理職あたりから、年収2,000万円を超えてきますので、やはり仕事内容との見合いでは非常にコストパフォーマンスが高い企業だと言えます。

また、伊藤忠商事は朝型への勤務シフトを他総合商社に先駆けて導入したことでも知られています。20時以降の残業は原則禁止され、現在20時以降に退社する社員は5%以下になっています。早朝勤務のインセンティブとして、深夜勤務同様の割増賃金を支給し、朝8時前に始業する社員に軽食を無料で配布するなどの施策も導入しています。筆者の友人などに話を聞いても、近年20時以降に残っている社員はほとんどおらず、非常に時給の高い会社になっているという声をよく聞きます。

さらに伊藤忠商事は社員の健康管理にもよく気を使っている会社です。40歳以上の社員に癌特化検診を義務付け、民間企業としては初めて国立がん研究センターと提携しました。財閥系ではない独立系総合商社の雄として、伊藤忠商事は時代に合致することはどんどん取り入れており、好調な業績と相まって当面は伊藤忠商事の人気加熱が続きそうです。

伊藤忠商事の雰囲気・物事の進め方

伊藤忠商事が時代に合致した制度を次々と取り入れていることはお伝えしたとおりですが、1点注意が必要です。それは、伊藤忠は総合商社の中でも元気の良い体育会系の会社であり、特に30代後半よりも上の世代にスマートさよりも勢い重視の社員が多いとされている点です。

また独立系で経営危機も経験した伊藤忠商事は新卒採用においても人気薄だった時代があり、現在の管理職世代は三菱商事や三井物産と比べて優秀な社員の層が薄いという話もチラホラ聞かれます。

最近は理不尽さはなくなっているというのが伊藤忠商事に関する一般的な評価ですが、本質的には理不尽な度合いも高いと言われてきた会社ですので、性格やキャラクター等によってはフィットするか注意が必要な面もあるかなと思います。

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