Roland Bergerケース面接2:アメリカにおける防弾チョッキの配布

Roland Bergerにおける防弾チョッキに関するケース問題です。このケースはビジネスケースではなく、社会問題解決系のケースであり、いきなり出ると若干とまどうかもしれません。ただ、落ち着いて変数分解を行い、打ち手を考える・評価するという基本的なアプローチは変わりません。

ケース問題

トランプ大統領の補佐官であるあなたは、トランプ大統領から、「銃犯罪による死者数を1/10に減らすために、防弾チョッキを配りたい」という案を示され、アドバイスを求められた。あなたはトランプ大統領にどうアドバイスをするか?

出題実績

Roland Bergerの面接での出題です。

回答例

銃犯罪による死者数のモデル化

銃犯罪死者数を1/10にしたいというのがトランプ大統領の期待ですので、まずは銃犯罪による死者数がどのようなモデルで算出されるかを考えます。例えば、以下のようなモデルが考えられます。

銃犯罪による死者数=重保有率×発砲率×致死率

防弾チョッキ配布の効果

上記モデルから考えると、防弾チョッキ配布により致死率が低下させると考えられます。

では、防弾チョッキを配ることで、本当に死者数が1/10(=致死率が1/10)になるかという問題を考えます。

まず銃により死に至るのは、主に3パターンあり、①銃弾が心臓に当たることによる心停止、②銃弾が大動脈などを損壊することによる失血死、③銃弾が脳に当たることによる脳損傷が挙げられます。防弾チョッキを着ることで防げるのは、①のみと言えます。

次に防弾チョッキが配られた場合、①が②③と比べてどの程度の占有率を占めそうかを考えます。銃犯罪は大きく、乱射事件と特定人物の急襲・狙撃型に分けられます。特定人物の急襲・狙撃においては、もし防弾チョッキが配られれば、襲撃犯は襲撃相手の頭や首を狙って発砲することが予測されることから、死者減少の効果はほとんど得られないと考えられます。一方、乱射事件においては、防弾チョッキを着用し心臓を守ることでにいくらかの死者減少の効果はありそうですが、銃犯罪による死亡者が1/10となるほどの効果があるとは考えにくいです。乱射事件においても脳損傷や失血を起因とした死者が存在するからです。

また、防弾チョッキ配布施策の最大の問題として、防弾チョッキが配られたとして、市民が常に防弾チョッキを着用するかという問題も存在します。

以上から、防弾チョッキ配布により、重犯罪による死者数が1/10となる可能性は低いと考えられます。

防弾チョッキ配布の代替案

それでは、銃犯罪による死亡者数を1/10にするために取るべき代替策はどのようなものでしょうか。あらためて銃犯罪による死者数のモデルから考えると、発砲率や致死率のコントロールは難しそうに思えます。従って、銃保有率を下げることが最も有効であると考えられます。

銃保有率を下げるための施策としては、「銃保有の免許制度の導入」、「流通する銃の総量規制」などが効果的でしょう。また、致死率のコントロールは難しいものの、銃口径の規制により殺傷能力の高い口径の銃を流通させないことで、致死率を一定程度下げることは可能かもしれません。いずれにせよ銃保有率を下げる施策を取ることは必須と考えられます。

ケース問題の紹介と対策は以上です。

Roland Bergerは欧州のトップファームですが、以下の記事で日本オフィスの特徴や給与水準などをまとめています。ぜひご参考下さい。

https://senryakuconsul.com/rolandberger/

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