ベイン ケース面接1:スターバックスの売上

Bain&Company(ベイン・アンド・カンパニー)、Roland Berger(ローランド・ベルガー)、Boston Consulting Group(BCG)など多数の戦略コンサルティングファームで出題実績があるスターバックスの売上に関するケース面接事例を紹介します。


出題実績

私が受けた面接の経験ベースで、ローランドベルガー、Bain & Companyで同様の出題がありました。問題自体は比較的簡単なため、1次面接でよく出るケースです。

ケース問題

  • オフィスビルにあるスターバックスの年間の売上は【フェルミ推定】
    • 算出した数字を検証する方法は他にあるか?
    • 計算方法に大きなブレがあるとすればどの部分か
    • 怪しい数字はどの辺りでしょうか?
    • もし時間があれば、どこを深堀りしますか?【更なる改善余地】
  • 売上拡大(もしくは利益拡大)をする場合、どのような打ち手が考えられますか?【打ち手仮説構築】

突破基準

以下の2点が漏らしてはいけない基準となります。この2点を押さえてあれば1次面接レベルは問題ないでしょう。

休日と平日、イートインとテイクアウトを分けて算出する

店舗運営のボトルネックとなっている箇所を特定し、それを潰すための打ち手を出す


ポイント

可能であれば供給サイドからではなく、需要サイド(顧客サイド)から考える

実際の面接では、冒頭で【フェルミ推定】だけを求められるケースが多いですが、話の流れで最終的に【打ち手仮説構築】までの回答が求められることが多いです。

このような売上改善問題では、【フェルミ推定】の段階で、予め需要サイドからセグメント分け(男女別、年齢別など)を行っておくと、【打ち手仮説構築】をセグメント別に考えることができ、議論がスムーズなります。

 特に2−3次面接など、オファー獲得に向けて、優秀さをアピールするという段階では需要サイドから議論を進めていくのがオススメです。

【打ち手仮説構築】においては、既存ビジネスの拡大に加え、新規事業の要素を含める

ケース面接で加点を得るための方法論となります。時間が足りず既存ビジネスの拡大しか考えられない場合でも、「既存ビジネスの拡大と新規事業がありますが」という枕言葉をつけることで、面接官は「全体像を広くとらえているな」と高評価をしてくれます。

戦略コンサルタントの仕事を一言で言うと、「打ち手のオプション出しと優先付け」です。打ち手をより広い全体像で考えることができる候補者は高評価されやすいです。

解答例

【フェルミ推定】

スタバの年間売上は、「1日あたりの売上×365日」で算出できるため、はじめに平日における1日あたりの売上を求めます。1日あたりの売上は「顧客あたり平均購入単価×顧客数」で求められます。

顧客数は「イートイン顧客+テイクアウト顧客」で構成されます。以下、各要素について検討します。

  • 顧客あたり平均購入単価は500円と考えて問題なさそうです
  • イートイン顧客数は「座席数×営業時間×1時間あたり回転数×稼働率」で算出され、座席数50、営業時間12時間、1時間あたり回転数2回、稼働率60%とすると、「50座席×12時間×2回×60%=720人」
    • オフィスビルであるため、学生や主婦のように平均滞在時間を伸ばす客層は少なく、主な客層がビジネスマンであるため、平均滞在時間30分というのは合理的
    • 12-16時頃はほぼ満席と思いますが、AMや18時以降は空き席が多いと想定し、2人掛けのテーブルを1人で使うケースなども考慮すると、稼働率は60%程度と予測
  • オフィスビルであるため、テイクアウト比率は比較的高く、全体顧客数の5人に1人程度存在すると考えられ、180人程度
  • 上記から、平日の顧客数(720人+180人)×顧客あたり平均単価(500円)= 平日1日あたりの売上は45万円と計算されます。休日については、六本木という地理的な問題から、稼働率が2/3となると仮定し、1日あたりの売上は30万円となります。
  • 365日のうち、土日祝日は120日程度、平日は250日程度ですので、土日祝日の売上=120日×30万円=3,600万円、平日の売上=250日×45万円=1億1250万円となり、年間の売上合計金額は1億4850万円と算出できます。

【検証の方法】

レジの処理能力から考える方法が考えられます。このアプローチでは1日あたりの売上は「カウンター数×営業時間×1カウンターの1時間あたり平均処理回数×平均単価」と因数分解され、 仮にカウンターが3台、平日の1時間あたりの平均処理回数が30回だったとすると、 「3台×12時間×30回×500円=54万円」が平日の売上となります。また休日の稼働率は同様に2/3と考え36万円です。

またもう一つの検証方法として、完全な概算になってしまいますが、スターバックスジャパンの 全体売上÷国内店舗数で概算する方法なども考えられます。

当初のアプローチで算出した数字にブレがあるとすれば、「座席数×営業時間×1時間あたり回転数×稼働率」の式において、1時間あたりの回転数が2回(平均滞在時間30分)というのは大きすぎるかもしれません。

顧客との打ち合わせや、どこでも仕事ができる専門職の方や就活生のワークスペースとしての用途などを 考慮していなかったためです。仮に平均滞在時間が45分であった場合、売上が2/3程度に減る可能性が有ります。

【更なる改善余地】

売上金額の推計を改善させる例としては以下が考えられます。

  • 稼働率を時間帯別に細分化して計算する
  • 平日と休日では来客層が異なり、友人やカップルでの来店等を考えると、滞在時間は圧倒的に長くなりそうですので、平日・休日の滞在時間に差をつける
  • 平均顧客単価を一律500円と置いたが、イートイン(とりわけ昼時)はテイクアウトに加え高く設定する

【打ち手仮説構築】

売上拡大の打ち手仮説としては、既存ビジネスの拡大、新規サービスの実施のオプションがあります。

既存ビジネスの拡大としては

  • ボトルネックになっている休日や平日夜の稼働率アップ(アルコールの提供、テラスでのドリンク販売、近隣レストランとのタイアップ)
  • 平日のピーク時間帯の売上を更に拡大するため、テイクアウトを推進するプロモーシション(テイクアウト割引、スタンプ制など)
  • 顧客単価を上昇させるための、フードメニューの強化
  • 店舗レイアウトの変更による座席数の増加
  • 営業時間の延長

などが考えられます。

新規サービスとしては、

  • オフィス向けへのケータリングサービス(コ—ヒー、軽食)
  • 仕切りを作った独立スペースを設け、会議室としての使用料を取る

などが考えられます。

スターバックスという非常に一般的なケースですが、話の広がりの余地が大きく、ケース面接では頻繁に使われています。

なおベイン・アンド・カンパニーについては、会社の特徴、年収などを以下の記事でまとめています。ベイン・アンド・カンパニーを志望されている方はご参考にして頂ければ幸いです。

>>>Bain&Company

更にベイン・アンド・カンパニーの面接対策を進めたい方は以下の記事もごらん下さい。

>>>ベイン・アンド・カンパニー ケース面接2:QBハウスの成長戦略


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