日立製作所の事業売却の動きが加速中 M&Aに向けPEファンド・戦略コンサルの話題の中心に

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近時、日立製作所の子会社売却・事業売却に向けた動きが加速しています。2018年3月の日本経済新聞において、「日立製作所は子会社数を900社(当時)から500社程度に絞り込む方針」と報道されました。

その後、日立製作所はカーナビ製造のクラリオンを売却するなど事業の選択と集中を着々と進めています。直近では日立の優良子会社と言われてきた日立化成を昭和電工に、画像診断事業を富士フィルムに売却することを決めました。

日立製作所の子会社・事業の売却候補先となるPEファンドや、M&A時にデューデリジェンスの依頼を受ける戦略コンサルティングファームは日立製作所の動きに注目しています。

2020年2月には、日立製作所の東原社長が日本経済新聞のインタビューに対して、「改革はまだ6合目。会社を最終形に変える作業がまだ残っている」と述べており、さらなる事業再編も視野に入れているものと思われます。

近時注目を集めている売却案件(日立化成の売却、日立製作所の画像診断機器事業のカーブアウト、日立金属の売却)の動きをまとめました。

また日立製作所の動きを理解する上では、日立製作所の元社長である川村隆さんの執筆した「ザ・ラストマン」が大変おすすめです。

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日立製作所 日立建機の売却に向け準備中

日立建機の売却案件概要

日立製作所は約51%を保有する日立建機株式の約半数の売却に向け動き出しています。

日立製作所の経営陣の中でも、日立建機売却については推進派・慎重派に分かれていました。しかし最近となり売却先候補に産業革新投資機構(JIC)が浮上してきたことで、日立建機売却の慎重派も懸念が和らいだという見方も出ています。

現在は産業革新投資機構を中心に、複数のPEファンドが日立建機の買収について検討中と見られています。売却先候補として、KKR、ベインキャピタル、ブラックストーンなどおなじみの外資ファンドが挙がっています。

日立製作所 日立金属の売却に向け、アドバイザーを選定の上準備中

日立金属の売却案件概要

日立製作所は日立金属の保有株式52.91%分について、売却することも選択肢として検討に入った模様です。

日立金属の売却に向けた状況

日立製作所はすでにゴールドマン・サックスをFAに選定の上、日立金属の売却に向けた動きに入っていると見られています。

日立金属の売却においては、多くの課題が存在します。とりわけ大きいのが、日立金属自体の業績不振と2020年4月に判明した検査不正問題です。

日立金属は2020年3月期に376億円の最終赤字を計上し、21年3月期についても460億円の最終赤字を見込んでいます。新型コロナの影響により、自動車や航空機の生産が低調に推移しており、日立金属の製品である特殊鋼やエンジン部品などの需要が大きく減退していることが理由です。すでにグループ3,200人の人員削減を発表するなど日立金属としても生き残りに向けた構造改革に待ったなしの状況となっています。

近年の日立金属の業績不振について象徴的なのが海外事業の失敗です。日立金属は2014年 北米で鉄キャスティング(鋳物)を行うワウパカ・ファウンドリー(Waupaca Foundry)を買収しました。ワウパカ社は2014年の日立金属による買収当初、約100億円あった最終利益がありました。しかしながらワウパカ社の直近の最終利益は2億円程度に落ち込んでおり、日立金属の海外事業強化の失敗の象徴となっています。 先行売却を行う可能性も指摘されていましたが、新型コロナの影響によりペンディングとなっていると言われています。

2020年4月に日立金属が発表した、主力の磁性材料での10年以上に渡る検査不正も日立金属の売却を難しいものにしているとも言われています。年内を目処に第三者委員会による調査を発表する予定ですが、新事実が発覚するリスクもあり、売却先候補としても二の足を踏む要因になっている可能性があります。

日立製作所 日立化成を売却

日立化成の売却概要

日立製作所は保有する日立化成の株式51.2%分の売却を検討の結果、昭和電工が2020年3月24日から2020年4月20日にかけて、1株4,630円でTOBを実施し、2020年4月21日にTOBの成立を発表。

日立化成の売却に関するこれまでの動き

2019年8月9日 :日立製作所保有の日立化成株式売却の1次入札が締切。 カーライル、ブラックストーン、KKR、ベインキャピタル、ブルックフィールド、日本産業パートナーズなどのPEファンド勢、三井化学、住友化学、日東電工、ロッテケミカル、昭和電工などの化学メーカーが日立化成の1次入札に参加。

2019年10月上旬:日立化成株式の売却候補先として、ベインキャピタル、日本産業パートナーズ、カーライル、日東電工、昭和電工などが一時入札を通過したと報じられる。

2019年11月26日:日本経済新聞の報道により、日立化成株式の売却先として、昭和電工が優先交渉権を獲得との報道。

現在、昭和電工は日立化成のTOBに向け、各国での独禁法対策のプロセスを進行中。TOBによる統合に際しては、昭和電工・日立化成それぞれの不採算事業、非中核事業について、事業売却を積極的に実施する意欲を示している。

日立化成はライフサイエンス、畜鉛電池、自動車ブレーキなど非中核事業が多く、昭和電工とのシナジーが少ない事業も存在するため、今後一部事業を切り出しての売却なども考えられます。

一方2020年2月から日本ではコロナショックにより、日経平均株価が大幅に下落しておりましたが、昭和電工は予定通りの価格で公開買付を行い、2020年4月21日にTOBが成立しました。

日立製作所 画像診断機器事業をカーブアウトにより売却

売却案件概要

日立製作所は、ヘルスケアBUの全売上の4割を占める画像診断機器事業のカーブアウトによる売却を検討中。同事業のEBITDAは100億円弱と見られ、売却金額は1000億円超レベル。検討の結果、富士フィルムへの売却を決定

売却手続きの状況

日立製作所は売却の検討を開始し、ヘルスケア領域に強い英ファンド ペルミラ、富士フィルムが関心を示しているのではないかと報道されるなか、2019年12月、富士フィルムが日立の画像診断事業を1790億円で買収することを正式に発表しました。

富士フィルムの古森重隆CEOは「世界の最先端を行く画像処理技術とAIを日立の機器と組み合わせるのが、買収の一番の狙い」と語り、自社が強みを持つシステムと日立の装置を組み合わせることで、規模と開発力の双方を同時に高める狙いです。

コメント

日立製作所のヘルスケアBUは、全社構造改革の一環として、低利益率の事業は売却もしくは短期の成長戦略を進めることを義務付けられているようです。画像診断機器事業がカーブアウトによる売却方向で進んでいるというのは、同事業の市場が既に成熟期に入っており中国・韓国との価格競争が厳しくなっている中、成長戦略を描くのが難しいという判断なのだろうと思います。

日立製作所は当事者として液晶事業や半導体事業の盛衰を経験していますので、画像診断機器事業の将来性を見据えた上で売却判断を下したというのは、日本を代表する企業としてポジティブな動きと思います。

一方、富士フィルムは事務機器やデジタルカメラ市場が縮小傾向にある中、医療機器や再生医療領域の売上を2020年台半ばに1兆円に伸ばすことを目標として掲げており、日立製作所の画像診断事業は補完的なパーツとしてうまくはまったということだと考えられます。

なお、日立製作所の事業売却においては、売却先としてPEファンドの名前が浮上することも多いです。以下の記事で、国内の主要なPEファンドの格付けを公開しておりますので、ご関心ある方はご覧いただければと思います。

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