戦略コンサルタントの限界

ハードなプロジェクトに連続してアサインされていた結果、長らく更新が滞ってしまっておりました。

最近は新型コロナの影響で在宅を取り入れるファーム・コンサルタントもより一層増えてきており、少し戦略コンサルタントの働き方も変わってきていますね。昔から、「どこでどう働いてもよいのが戦略コンサルの魅力でしょ」と言ってあまりオフィスに出てこないコンサルタントは一定数いたのですが、より組織的に出社の制限をかけたりするファームが増えてきました。

この半年間、新型コロナ渦の文脈での成長戦略や、今まであまりやったことのなかったコスト削減に近いプロジェクトを経験したことで、あらためて「戦略コンサルってなんだろう?」と自問することが増えてきました。よく言われる、「戦略コンサル・コンサルタントの限界」について思っていることを記したいと思います。

戦略コンサルは実際の事業に関われない

これは戦略コンサルティングファームで勤務したことのある方にとってはお馴染みだと思います。特に新卒で戦略コンサルティングファームに入った方がファームを辞めていかれる際に聞かれる声として多いですね。

最近は起業やベンチャー勤務などが増えてきていることにより、「コンサルスキル=大したものではない。従って3年以上コンサルでいることに価値を感じない」という退職理由も増えてきているようには思いますが、「実際の事業に関われない」というのは退職理由としてこの10年間No.1だと思います。

総合商社でトレーディングをやってきた自分の経験からすると、戦略コンサルって(特に新卒で入ると)見積もりも取れなかったりしますからね。もちろん、やったことがないだけで、やり始めれば高速にキャッチアップできる方々なのですが、「やったことがあるのか、ないのか」はやはり大きな違いだと思っています。

戦略コンサルには本当の意味での「検証」はできない

総合商社から戦略コンサルに転身した身としては、一番大きいのがこのポイントだと思っています。新規事業のプロジェクトをしていると、「結局、お客さんがどう思うか次第なんだよな」と感じざるを得ない場面が多くあります。

もちろん、業界のエキスパート(想定顧客のマネジメントレベルが多い)と言われる方々にインタビューを繰り返し、戦略コンサルの立場で「仮説検証」は行うのですが、やはりビジネスはそんなに簡単ではありません。

顧客ニーズをしっかり掴まえることがビジネスの醍醐味の1つであると考えている私にとっては、この点はいつまでたっても歯痒い思いが消えないところですね。

(私もシニア層に入ってきているので、現場レベル含め自分の専門領域については、いろいろな会社のキーマンにフランクに話を聞いたりできるようになっていなければならないのでしょうが。そこは私のネットワーク不足というか、ネットワークを築くための実力不足というか)

戦略コンサルはコミュニケーションが単調化しやすい

ビジネスにおけるコミュニケーションは大きく社内コミュニケーションと社外コミュニケーションに分かれます。

働くモチベーションを良質な社内コミュニケーションに求めた場合、明らかに戦略コンサルティングファームで働くことに大きな魅力があると思います。戦略コンサルティングファームでは論理的思考力、視座の高さ、プロフェッショナリズムなどを持ち合わせていないスタッフを「アップ・オア・アウト」という制度で入れ替えていく仕組みを確立しています。

結果として、「優秀な先輩・同僚の割合」という観点では、私がいた大手総合商社とは比較にならないほど、戦略コンサルティングファームに優位性があります。100人以上などある程度の人員規模がある会社で、ここまで恵まれた人材環境で仕事をできる職場は戦略コンサルティングファーム以外には少ないだろうと思います。

一方でクライアント含む社外の関係者とのコミュニケーションという観点では、事業会社にいる方が面白さがあります。ビジネスにおいては、「いかにして自分とは異なるタイプの人を動かすか」が重要です。時に合理的でない相手の要求にどう対応していくか、どう説得していくか、これらは事業を推進していくには避けて通れない課題です。この課題に日々直面しているビジネスマンと、常にロジックを共通言語でコミュニケーションしている(できている)戦略コンサルタントでは、ビジネスマンとしての深みに大きな差が出るように思っています。

これは戦略コンサル経験を活かして将来事業会社の社長になりたいと思っている方は特に意識的である必要がある事項だと思います。

なおコンサルティング業界から事業会社に転身する際の転職エージェントとしては、アクシスコンサルティング社などが著名ですので、転職支援を受けるのも良いと思います↓

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