PwCの戦略コンサルティング部門であるStrategy&のバイク市場に関するケース問題です。
ケース問題
国内におけるバイクの新車販売台数は1980年台に300万台であったが、最近は50万台を割るなど深刻なバイク離れが進んでいる。バイク離れが進んでいる理由と、バイクメーカーが取るべき対策を考えて下さい。
出題実績
PwCコンサルティングの戦略コンサルティング部門であるStrategy&で出題された問題です。バイク市場については、「国内の新車販売台数を求めなさい」というような、フェルミ推定の問題が出ることもあります。
解答例
バイク市場の定義
バイク市場と言っても、原付バイク市場と中大型バイク市場は大きく異なりますので、これらを分けて考えます。
インパクトの大きいカテゴリーの特定
中大型バイクには思い入れの強い人が乗っており、このカテゴリーの減少は緩やかであることが予測されます。台数面から考えても、よりバイク離れにインパクトがあるのは原付バイクであり、中大型バイクは無視できるレベルと考えられますので、原付バイクを中心に考えます。
原付きが減少している理由
マーケティングの課題を検討する問題のため、AIDMAのフレームワークで考えるのがシンプルでわかりやすいと思います。
初期認知
バイクの存在を知らない人は少ないでしょうから、バイク離れとバイク自体の初期認知には関連は薄いと考えられます。
興味
バイクの興味は全般的に低下傾向にあると考えられます。とりわけ原付バイクについては大学生や40代以上の人が乗っているというイメージが強く、20-30代の潜在顧客層の開拓ができていないものと考えられます。また、イメージとして原付=車に比べて安価な移動手段であり、経済的に安定してくる40代以降の人にとっては、新たに原付バイクに興味を持つきっかけがありません。
欲求
メリットとデメリットで考えます。欲求につながる原付バイクのメリットとしては、車と比べた場合の維持費の安さや小回りの良さ、自転車と比べた場合の移動の速さや楽さと考えられます。しかしこれらは全て相対的なメリットです。減税、燃費改善、カーシェアの普及により車の維持費が下がったり、電動自転車やロードバイクの普及により、「車と自転車の中間」に位置するバイクの優位性は近年下がっています。
一方でデメリットとしては、バイク利用時の駐車場確保の難しさが挙げられます。近年路上駐車の取締強化により、バイクを一時的に駐車する場所を探すのは至難の技になってきています。またマンションや利便性の高い立地に家を持つ考え方が強まっており、自宅にバイク置き場を確保するのが難しくなっています。さらにバイクユーザーの減少とともに、都市や店舗の開発がバイクでの訪問を前提としない立地(駅前・幹線道路沿い)にシフトしています。これらのデメリットにより、バイクを買いたいという欲求を喚起するのが難しくなっていると考えられます。
購買
かなり買いやすくはなったとはいえ、バイクを新車で購入すると20万円程度します。バイクを使う層は、コストパフォマンスの良さに敏感であると考えられるため、20万円という金額はそれなりにインパクトが大きそうです。また、近年バイクを取り扱っている店舗が減っており、「現物が見られない」ことを理由に購入をやめてしまう顧客も存在すると思います。
バイクメーカーが取るべき対策
興味を喚起する新デザイン、新機能の開発
バイクに対する興味が低下傾向にある中、燃費向上や軽量化など従来の取り組みではジリ貧は免れません。これまで原付に乗っていなかった層が興味を持つようなスタイリッシュなデザインの開発や、充電式原付バイクなど、従来のイメージを大幅に刷新する製品を開発しトレンドを作るような動きが必要になると考えられます。
バイクシェアリングの導入
原付のデメリットとして、駐車場の確保が難しいことや、購入時の初期コストの負担などがあることを述べました。これらを解決するための施策として、バイクメーカーでシェアリングサービスを行うことが考えられます。
シェアリングという形で原付バイクを提供することで、街中・自宅での駐車場問題を同時に解決することが可能です。また、シェアリングで2-3年償却した原付バイクを中古バイク市場に流すことで良質な中古バイクが供給され、購入者から見ると中古バイクを選択することで初期費用が抑えられるというメリットがあります。
ケース対策は以上です。Strategy&はPwCへの統合し情報が手に入りにくいファームとなってしまいました。会社の情報を以下ページで記載しています。戦略コンサルティング業界への転職に興味のあり、Strategy&を候補にしている方は是非ご覧ください。
>>>Strategy&(旧Booz、現PwC戦略部隊)