最近の報道で、「コンサル人気が止まらない」という記事が出ていました。
戦略コンサルとして働いていると、応募してくる人数は年々明らかに増加していることがわかります。マネージャー・プリンシパルは週に2-3回採用面接を行うのが一般的ですが、マネージャー・プリンシパルの数が倍以上に増えているのにもかかわらず、マネージャー・プリンシパル1人あたりの面接回数はむしろ増える勢いです。
ここに入社してくる人材の質を確保することが非常に難しくなってきているコンサルティングファームの苦悩があります。「昔はこのレベルは不合格だったなぁ~」という候補者を面接合格にせざるを得ないケースがあるからです。
2005-2010年は戦略コンサルティングファームにおける新卒採用の人数は多くて10人弱でしたが、現在はファームに寄っては30人前後まで増加しています。コンサルティング業界の市場拡大によって、あきらかに採用門戸が拡大しているのです。コンサルタントの中途採用においても同様です。3ヶ月ごとに10人以上の中途コンサルタントが入ってくるケースが増えています。
以下では必ずしも戦略コンサルティングファームに限定せず、総合ファーム、その他も含めた広いコンサル業界の新卒採用についてまとめていきたいと思います。
コンサルティング会社の人気加熱
就活生にとっては、外資系戦略コンサルティングファームを始め、コンサルティング業界は憧れの業界になっています。
ベイン・アンド・カンパニーでは、この2年で新卒採用の応募者が1.5倍になっています。業績が好調のため、各社も採用を増やしていますが、応募者増により倍率は高まっています。
少数精鋭型の戦略コンサルティングファーム(ベイン・カーニー・Strategy&)の新卒採用人数は10人程度、BCGやマッキンゼーは約30人というなか、各社に5,000人以上の応募者が殺到するという事態となっているようですので、選ぶ方も、選ばれる方も大変ですね。
アクセンチュア、デロイト、PwCなど総合ファームが台頭したことも、コンサル人気に拍車をかけています。
300人単位で採用を行うアクセンチュアやアビーム、200人単位のデロイトやPwCなどの採用数拡大により、過去敷居の高かったコンサル業界のハードルが下がり、エントリーシートを出す就活生の数は激増しているようです。
筆記試験で就活生をふるいにかけるというところはありますが、同じような筆記結果で大量の就活生が並ぶこともあり、採用プロセスを効果的に進めることは非常に難しくなってきています。
志望者の層の変化
従来コンサル業界を受けていた一般層は、東大・京大・東工大・一橋・早稲田・慶応がメインでしたが、最近は学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政などにも層が広がっています。
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戦略コンサルタントの学歴
戦略コンサルタントの学歴については、新卒採用、MBA採用、転職で基準が若干異なります。しか ...
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戦略コンサルティングファームにMARCHクラスから入ることは実績からも極めて難しいのですが、総合ファームであればMARCHクラスからの入社も増えてきていますね。
また最近の傾向として、戦略コンサルティングファームに入社していたような層(しかもその中でもトップ層)が、ベンチャーや海外企業と競合し始めているというもの見逃せない傾向です。
「やりたいことがない人が行くところがコンサル会社」という側面も出始めおり、徐々に”本当に優秀な人は戦略コンサルに行かない”という時代が到来しつつあります。
コンサルを志望する学生に共通する志望理由
あるメディアによると、コンサルを志望する学生に共通する志望理由として、以下のようなものが挙がっていました。
①選考が他業界に先んじており、大手企業やベンチャーの選考が始まる前に内定を確保したい
②「地頭の良さ」を証明できるという功名心
③入社後の成長スピードが速い
④給料が高い、働き方も合理的
⑤転職時につぶしが効きやすい
うーん、なんとなく保守的・安定志向に見えますね。
記事で引用された戦略コンサルティングファームの採用担当者は、以下のようにコメントしています。人気業界とはいえ、戦略コンサルティングファームの悩みが垣間見えますね。
永遠に山登りをしているようなもの。いわば安定がないのが魅力であるはずなのに、安定を求め「スキルをつけて逃げ切る」といった発想でコンサルにくるのは矛盾している気がします。
戦略コンサルティングファーム採用担当者のコメント