コカ・コーラボトラーズジャパンHDがキューサイ売却の手続きを進行中
今年6月に日経ビジネスなどの誌面で、コカ・コーラボトラーズジャパンHD(以下コカ・コーラBJ)が青汁で知られるキューサイ(福岡)の売却を検討中であることが報じられました。
コカ・コーラはバークレイズ証券と契約の上、キューサイの売却先候補の選定を進めてきたようですが、既に複数回の入札プロセスを経て、ショートリスト化が進んでいます。
2020.12.23追補
12月15日にアドバンテッジパートナーズ、ユーグレナ、東京センチュリーの3社が共同でキューサイの全株式を取得することについて、コカ・コーラジャパンホールディングスと合意したとの発表がされました。
M&Aによるキューサイ売却の背景
ここ10年、コカ・コーラBJはキューサイを飼い殺し状態にしてきたと言われています。2010年、キューサイはコカ・コーラBJの前身であるコカ・コーラウエストにより360億円で買収されました。キューサイの前株主はNIFコーポレートマネジメントなど、投資ファンド4社でしたので、コカ・コーラBJが投資ファンドの出口戦略の受け皿となるという構図でした。
コカ・コーラBJは、青汁などでブランド力のあるキューサイを傘下に収めることで、共同製品開発などコカ・コーラBJの販路を活用したシナジー創出を狙っていました。しかし、コカ・コーラ米本社からの反対にあったこともあり、結果としてコカ・コーラBJはキューサイ買収後に成長させることはできず、遂にキューサイ株の売却に踏み切ったものと考えられます。
キューサイの売却・買収候補先
キューサイのEBITDA(償却前営業利益)は40億円強と見られており、EBITDAの8-10倍となる300-400億程度が本ディールの買収価額と見られています。8月中旬に予定される一次入札では、プライベート・エクイティ・ファンド、国内外の事業会社が名乗りを挙げることが予測されています。
PEファンド勢としては近年おなじみのポラリス・キャピタルを筆頭に、佐山氏率いるインテグラル、外資系ですと日本投資に力を入れ始めているカーライルなどの名前が上がっています。
国内では健康食品市場の拡大により、青汁やコラーゲン飲料などキューサイが得意とする製品群は新興勢力が乱立している様相です。キューサイは青汁市場では古参プレイヤーですが、もはやこの領域におけるキューサイの競争優位性は失われているとの声もあります。そのような中、日系の食品会社などはなかなか本ディールに魅力的な金額の入札を行うことは困難かもしれません。
ジャパンブランドが一定の優位性を持ちうる、中国・韓国など東アジアのプレイヤーは関心を示しているとの観測もあり、実際にLGグループや中国大手企業が入札に参加している模様です。これら東アジアの大手企業がPEファンドと対抗していく形でキューサイの価格が上がっていく構図もありそうです。