2月からLIXILグループの傘下にあるリクシルビバ社がカーブアウトにより売却されると報じられています。LIXILビバは関東郊外を中心としてホームセンター「ビバホーム」を展開しています。ビバホームの運営会社がLIXILだと聞いて意外に感じる人も多そうですね。
LIXILビバの売却プロセスはスムーズには進んでいないという見方もあります。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発動され、入札プロセスが延期されるなど、LIXILビバの売却への影響も少なくありません。最終的にはPEファンドはじめ、どこかの手に落ちるとは思いますが、売却タイミングとしては少し悪かったかもしれないですね。
(2020.6.9追記)北陸地方でホームセンター事業を展開するアークランドサカモトがTOBにより、LIXILビバの株式を取得すると報道されています。首都圏エリアに強いLIXILビバの取り込みにより、エリア拡大による成長を狙ってのM&Aと考えられます。
LIXILビバ(ビバホーム)売却の背景
LIXILはここ数年、ちょっとしたお家騒動が続いてきました。プロ経営者である藤森義明前社長や瀬戸欣哉社長を起用しますが、前身会社旧トステム創業家の潮田洋一郎元会長の意向から、藤森義明社長は事実上のクビとなり、後任の瀬戸欣哉社長は潮田元会長と激しく対立した末、一度社を追われます。瀬戸欣哉社長が2019年6月に株主の支持により異例の形でCEOに返り咲くという復活劇は、株主を巻き込んだ騒動として記憶に新しいと思います。
LIXILビバは潮田洋一郎元会長の思い入れの強い事業と言われていますが、LIXILにとってビバホーム事業は本業との関連が薄い非中核事業と位置づけられた結果の売却の模様です。LIXIL製品のビバホーム内での販売比率は低いだけでなく、LIXILがビバホームを持つことで、他のホームセンターにLIXIL製品は扱ってもらいにくいという弊害もあるようで、売却自体の合理性は高そうです。
LIXILビバ(ビバホーム)の売却先予測
売却先としては、DCMグループや、カインズを展開するベイシア、コーナン商事、コメリなどのホームセンター業界における競合勢、加えて例によってPEファンドの参入が噂されています。LIXILビバは営業利益ベースで、100億程度出ていることもあり、売却額は1,000億レベルになるでしょうから。ホームセンター業界の競合先とPEファンドのアライアンスという形も考えられます。
実施に入札に参加しているのはPEファンドが中心のようです。ゴールドマン・サックス、KKR、MBKパートナーズ、ポラリス・キャピタル・グループあたりの国内外PEファンド勢による入札合戦という見方も出ています。