少し前になりますが、リソースの20%程度を使って、日本を代表する名門企業の若手・中堅社員と伴走するプロジェクトを経験しました(この種のプロジェクトはかなり珍しい)。事業会社を離れて相当の期間が経っている中、久しぶりに「普通のビジネスマン」と接する機会を頂き、新鮮な体験となりました。
事業会社の文化は(会社による程度の差はあれ)、戦略コンサル、投資銀行などいわゆる「プロフェショナルファーム」の文化とは大きく異なります。今回の経験を通じて、戦略コンサルや投資銀行で働く上では、個人レベルの意識・姿勢の観点において、何が求められるかについて記事化したいと思うようになりました。
アウトプットに対するコミット
戦略コンサルや投資銀行などプロフェショナルファームで働く上で、アウトプット(成果)に対するコミットは欠かせません。そのため戦略コンサル、投資銀行各社においては「プロセスではなく、成果で人財を評価する」というのが徹底されています。クライアントから相当な金額のフィーを得ることを正当化する根拠は、アウトプット(成果)に尽きるからです。
今回のプロジェクトにおいてクライアントとの伴走の中で、30代の中堅社員から以下のような声が聞かれました。
「最後は事業部長、部長が決めるから」
「事業部長や部長はxxと言うだろうから、その方向性で検討しよう」
「事業部長、部長の戦略ないから決まらない」
「アイディア出しが求められているのではないか。質は問題ではないだろう」
「どの案が良いかは決められないから、多数決で決めよう」
日本を代表する企業の中堅社員から出る言葉としては、唖然としてしまう部分がありましたが、日本企業の実態を示すところでもあると思います。
(このような現状を打破するために筆者に声がかかったのですが)
戦略コンサルを志望する方は、「自分のアウトプットには自分で責任を持つ」、「上司の意見が違うなら変えさせる、説得できないのは自分の責任」というマインドセットを備える必要があります。
リソースに対する意識
戦略コンサルティング会社は、相場として3~10万円/時間の費用をクライアントに請求します。従い、高額なコストが乗っている人財リソースや時間の使い方に対して非常にシビアです。
事業会社では以下のようなコメントがよく聞かれますが、この雰囲気に居心地の良さを感じる方は戦略コンサルティング会社を始めとするプロフェッショナルファームには不向きでしょう。
「全員集まっていないけれども、時間を過ぎているので会議を始めますか」
「xxさんには何をやってもらおうかな~(あまりやってもらえることがないなぁ...)」
「会議中はパソコンを使わないで下さい」
なお、30分以上の社内会議はよほどのことが無い限りありません。会議が30分で終わらない場合は、大抵の場合主催者が、上司や同僚から一方的に集中砲火を浴びています。
個人としての成長に対する時間軸
このあたりもかなり乖離がありますね。戦略コンサルティング会社や投資銀行では半年あれば相当な成長が可能です。事業会社では新卒で入社後、1年、3年、5年と経っても「勉強」、「経験」みたいなことが言われる傾向が強いですね。
新卒のコンサルタントであっても1週間で全く貢献できない場合は、プロジェクトから外されるというのが基本ですので、「短期間で何が何でも成長する」という姿勢が必須です。半年ダメならクビの宣告が待っている、そんな世界です。
少し柔らかなテーマとなりましたが、プロフェッショナルファームで長期間活躍するには個人レベルの高い意識・姿勢も相当重要なことについて理解を深めて頂ければ幸いです。